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司法書士にできることとは?
多重債務などに陥り、借金の返済ができなくなった場合には債務整理の手続きを早急に行い、まずは債権者からの督促を止めることが大切です。債務整理の方法としては、任意整理、個人再生、自己破産の3種類があります。
テレビのCMなどで宣伝されている過払金請求についても債務整理の一環にはなりますが、これは平成12年以前の借金が対象となるものであり、多重債務を清算する際に計算されることになりますが、これで借金が大幅に減額されることはあまりありませんので、期待しないほうが良いでしょう。
どの方法で債務整理を行うかは、債務の総額と支払い能力によって決まります。任意整理は、現在の債務から金利分を差し引いた金額を5年程度の期間で返済する方法です。
したがって、金利分を差し引いた債務額を5年間で支払える能力が債務者にあると客観的に判断されなければ、任意整理を適用することはできません。
任意整理の場合、裁判所は関係しませんから、この判断を下すのは各債務者になります。つまり、司法書士は債務者からの委任を受け、返済計画を策定し、各債務者と交渉する役割を担うのです。
任意整理は債権者との交渉によって成立するものですから、当分の間、クレジットカードやローンを利用することはできませんが、官報に掲載されることもなく、当然、住宅などの財産も残ります。
任意整理による返済が難しい場合には、個人再生を検討することになります。これは、債務総額の5分の1の金額と債務者の全財産総額を比較して高額な方を3年から5年の期間で返済するものです。
個人再生の場合、債務者は裁判所に申し立てることになりますから、支払い能力を判断するのは裁判所になります。ただし、裁判所では判断が難しい場合には、裁判所が指名する弁護士を再生委員が、様々な資料を債務者から求め、裁判所に意見書を提出する流れになります。
この場合も司法書士は債務者からの委任を受け、裁判所への手続きや陳情書等の作成を行います。また、個人再生が認められた場合、官報には掲載されますが住宅をはじめとする財産は残ります。
最後の方法として適用されるのが自己破産です。任意整理、個人再生を検討した結果、支払い能力が認められないと裁判所が判断した場合には、生活するための最低限の財産は残りますが、債務は帳消しになる代わりに住宅などの高額な財産は全て差し押さえられます。
自己破産も裁判所への申請が必要ですから、司法書士が債務者から委任を受け裁判所への手続きを行います。
弁護士との役割の違い
さて、弁護士と司法書士の違いですが、個人が債務整理する場合には、ほとんどその違いはありません。
専門的な部分では、司法書士は「書類作成代理人」として自己破産・個人再生申立書を作成することができますし、弁護士は本人の「代理人」として自己破産・個人再生申立をするという違いがあります。
弁護士でないと都合が良くないのは、大規模な法人の案件になると考えて良いでしょう。したがって、弁護士か司法書士かの違いで依頼するのではなく、債務整理に強いか否かで依頼することが大切です。